アズマハウス(株)には「独自のポリシーと提案スタイル」があります。
その大もとには、東谷典夫社長の「会社は、人間性を磨く、人生の道場」という考え方がありました。
当時23歳・最年少で「住宅販売」という厳しい業界に入り、お客様との関わりで何を学んだか。
独立・創業から現在に至るまでの28年間、大崎市(古川)で「住まいと暮らし」を見守り続ける中、 アズマハウスが「大切にしてきた事は何か」「これからも変わらずに、大切にしていくことは何か」
「住まいは、人生の一部。人を育てる環境」と語る、東谷社長。
このページでは、その歴史を少しだけ振り返りながら、アズマハウスの根底にあるポリシー。
そして「家族にとっての家づくり」「人にとっての住まい」とは何かを確認していきたいと思います。
【取材・文責:ヒットアシスト】 ※28年間 : 2015年現在
「もし、自分が建てるなら…?」と、建てる人の立場になり考えていくと…
今回、お話を伺うことを、とても楽しみにしていました。よろしくお願い致します。
色々と伺いたい事がありますが、まずは「家づくり」において、東谷社長が「大切にしていること」をお聴きしてもいいですか?
はい。家づくりの基本は「自分自身が、建てる人の立場になって考える」こと。
本当に当たり前のことなんだけど、その「基本」を大切にしています。
「もし、自分が、この人の立場で、こういう家族構成で、○歳の子供がいて、○年後に大学に入って…」と、想像力、イマジネーションなんですが・・・。
そうやって、相手の状況で考えを深めていくと、見えてくるんですね。
だんだんと、相手の考えていることに近づく。現実に近づいていく。
だから営業の時代から、今でもそうですが、はじめはしっかりと相手のことを読み取るのが一番です。
その時の気持ちや、ものの見方、考え方をこちらがくみとって、次にお会いした時に、喜んでもらえるような提案をする。
あとは、手をかけたら、最後まで責任をもってやりきること。
自分にできる事を、誠心誠意やり尽くすことです。
最後の最後に『あぁ、あの時、頼んでよかったな』と。
例えば、そういう一言を頂けるまで、気を抜かず、当たり前の事をやりきることです。
家づくりとは?『人がつくられる環境』を、家族とつくるプロセス
先程の話もそうですが、はじめのお話や、ミーティングで拝聴した時からも、東谷社長には「物事の見方・捉え方が深い方だな」という印象を持っています。
「何が大切か」ということ。本質的なことを、心を澄まして「観ている」という印象がありますが、東谷社長は「家づくり」の何に、魅力や喜びを感じていますか?
創業から現在(2015年)に至るまで、さまざまな事がありました。
ずいぶん前になりますが、その中で、建て売りをしたこともあります。
規格化して「モノを売る」ということでは、建て売りは、契約後のやりとりも少なくて、楽といえば楽なのかもしれません。
ですが、私がこの仕事をしていて、一番うれしいのは『注文住宅をつくる過程』なんですね。
自分達が住む家を通して、将来のことについて、心を1つにして考えていくプロセスなんです。
家族がテーブルを囲んで、あたまを寄せ合って、心を1つにして、目を輝かせて、「あ~でもない」「こ~でもない」と、話し合いをしながら、間取りや、将来のプランをつくっていく。
自分が子供のころ、おふろも外、机もない…という時期を過ごしたことがあったから、そういう『温かい家族像』に思い入れがあるのかもしれないけど。
『家づくり』というのは、本来は、一生に一回。自分達の住まいづくりを通して、家族の心を1つにして、将来を描いていくプロセスだと思うんです。
建て売りの住宅には、それがないですよね。『つくる過程』がない。それは、少しさびしい。
だから私が一番重要なのが、この先、長い目でみて『家族が仲良く、笑って過ごしていけるように』という事です。
そのために、どうしても必要なのは『家族が心を1つにして、将来を考えていくプロセス』で、そこに関われるのは、とてもうれしいことなんですよね。
『人は、住まいを作り、住まいは、人を創る』
施工する側が、お客様を置き去りにして進めてしまうケースもありますよね。その点、アズマハウスさんは「家を建てる立場」での自分事として、実行されていますね。
社員さんによくお話していた「人は、住まいを作り、住まいは、人を創る」という事について「住まい」に、どのような見方、考え方をされているか教えて頂けますか?
『家づくり』を『家族が心を1つにして、将来を考えていくプロセス』とみているように
『住まい』は、モノではなくて、人生の一部であり「住む人が育てられる、人づくりの大切な環境」と、とらえています。
形としては、人が住まいをつくる(考え、設計し、施工する)わけですが、実際は長い年月をかけて、何十年を生活していく。そこで「住まい」に「人が育てられていく」。
植物が自然の影響を受け成長していくように、人も住まい(環境)に、人格形成の影響を受けていく。
スキマ風がふく、少し暗い部屋で育った人は、やっぱりどこか、心の中に寂しさというか、暗いひずみが生まれてしまう。
陽の当たる空間、明るくて、風通しの心地よい間取りで、温かい家族と接していったなら、やっぱり、気持ちの温かい人になっていくと感じています。
だからこそ、人生設計が、その中に組み込まれていく必要があると思うんです。
なるほどですね。「住まいは、長年、人が暮らす環境。影響をうけて、人が育つ。」
そこで「なぜ、注文住宅か?」「なぜ、オーダーか?」といった時に「家に人が合わせる」のではなく「人が気持ちよく生活し、よりよく成長する環境として家をつくる」というのが大切だと。
そうです。モノのように「形だけ」つくり、人がそこに入り、合わせるのでは、注文住宅の意味がありませんので。アズマハウスの家づくりというのは、そこに基づいています。
ですから、例えば『おばあちゃんが、車イスになった時に、寝室は…トイレは…おふろは…』と、将来、介護に備えて、あらかじめリフォームをしなくていいように考えたり。
『1歳の子供が大きくなって、一人部屋や、机がほしくなって…。大学生になって、巣立って行ったら?結婚して、子供が増えたら?』と、小さな子供が20年後に社会人になることを考えたり。
そういった将来のシーンを、反映させていくのが『住まい』には大切ではないかと思うんです。
そうやって「住まい」を、その家族が長い期間で暮らして『人が育っていく環境』という「ものの見方」でいくと、当然、家を建てるとなれば、長い人生でのお付き合いになるものと考えています。
ですから、生活の中のちょっとした事でも、人と人の関係で、気軽に相談してもらえたら、それはうれしいことです。
『会社は、仕事を通して人間を磨く、人生の道場』
「家を建てる時だけ」でなく、その先も考えていくのが、また興味深いところですね。
もう1つ、お聴きしたいのですが、よくお話されている
『会社は、仕事を通して人間を磨く、人生の道場』という言葉には、どんな考え方が?
これは私自身もそうですが、社員をはじめ、仕事で協力する皆にいつも話している事で、仕事においては、社長がいなくても判断ができるように。ということでもあります。
ただ、それよりも、一人ひとりが、より豊かな人生を送ってほしいと思い、生きる上で私が大切にしている「ものの考え方」を話しています。
生活のために働いてお金を得る。生きる上では、もちろんそれも大切なのですが、一番大切なのは『人間性』であり、ものの考え方だと思うんです。
※ミーティングにも数回、同席させてもらった。いつも皆、真剣に話をきいている。
私自身が、20代のころ『仕事とは、どうあるべきか?』というものを、体験を通じて学び、考え方を変えたことで、行動も変わった。
厳しい上司や、苦言を呈する人からも学んで、大切なものに気づくことが、人生を変えたんです。
何でもそうだと思うのですが、できごとや、だれかの一言を『自分がどう受けとめるか』で、世界が変わる。それが、これまで色んなことがあった中で、学んだことです。
「相手が・・・。」ではなく「自分がどう受けとめるか。」「自分が何を選んでいくか。」
だから、仕事を「一人ひとりの人生の一部」として考えたとき『何があっても動じない。精神力、判断力を身に着けてもらえれば』と思っています。
でも人は、自分だけでは大きくなれない。
やっぱり、周りの人がいて、色んな人に出会い、関わる中で、人にもまれて人間が大きくなっていく。
そういった経験が『懐(ふところ)の深さ』になり、余裕になります。
その余裕があるから、ものごとを冷静にみて判断したり、相手の気持ち、立場になっていけるのではないかと思うんですね。
『会社は自分を磨く道場』というのは、日々、自分を磨いて、苦労や経験を共有して、価値観の相い通ずる人と出会い、人生を豊かにしてほしい。そういう思いがあります。
『誠心誠意』=人間性が大切、熱意が大切
家づくりにしても、仕事にしても、長期的視点というか、共通した大局観がありますし、
「家づくり」だけでなく、社内でも、まさに「人を育てる環境」をつくっていますね。
新しい仕事をはじめたばかりの時など、全てのことを見通して決断するのは大変だと思います。そのような時には、何を重視して、どのような声をかけられますか?
仕事以前の基本的なことです。仕事で学ぶ専門的な知識や経験以前の、生活における基本的なこと。誤解を恐れず、極端にいえば、仕事のことは分からなくていい。
まずは『知識よりも、相手の気持ち、考えを大切にして、くみ取ってあげなさい』ということです。これは、経験を積んでも同じですし、むしろ、気を付けなければなりません。
例えば、新入社員で、お客様に聴かれても「分からないことだらけ」だったとします。
そこで「分からなかった」で済ませずに「調べてまいります」と、精一杯応えようとする姿勢が大切。
「相手に誠意はあるか?」は「自分自身に対して誠実であるか?」という事でもあり
「仕事に熱意はあるか?」という事は「自分の人生に対して真剣であるか?」という事でもあります。
どんな事でもパフォーマンス的にはしたくないんですね。
よく見せようとして、カッコつけたり、その場だけのハッタリを言うとか。
生活をしていく上で、当たり前の礼儀を大切にしたい。
ですから、あいさつをすることであったり、自分の住まいを掃除するように、会社を掃除すること。
整理と整頓をすること。見積りの数字は細かく出すこと。対応は正直であること。
生きる上でも、仕事をする上でも、そういった基本的な事を大切にしたいんです。
※はじめの訪問で、まず驚いたのは、会社の扉を開けた直後の「あいさつ」だった。
自分で考え、判断できる。相手の気持ちを読み取れるように。自分を磨く
なるほど。「生き方としての基本」ですね。確かに、社長はじめ、アズマハウスの社員さんは、個性はそれぞれあっても、背筋がピッとした、実直なスタイルが共通しています。
このスタンスというのは、お話を聴いている私も、いつも気持ちが晴れやかになります。
それでは、業務の上で、ある程度、成長してきた時に、どんな事を伝えられますか?
まず、会社として一同で大切にしているのは、そういう「基本的な姿勢」です。
とはいえ、お客様の立場で考えれば、何度も「調べてきます」では不便ですよね。
ですから、ある程度の経験を積んだら、自分の専門分野外でも「何でもできるように」「何でもわかるように」と言っています。
完全な分業ができればいいですが、小さな会社ではそうもいかない所がありますし、お客様からすれば「小さな会社だからこそ、相手の顔が見えて、安心に話ができる。」ということもありますよね。
『設計でも、現場がわかる』『現場も、設計のことがわかる』となれば、知識だけでなく、仕事の協力をする上で『相手の立場で何が必要か、わかるようになる』ということでもあります。
しいては、それが、お客様からの相談にも活きてきます。
※社員の皆さんは、和気あいあいと話し、いつも真剣に業務に向かっていた
もちろん専門分野を深めることは大切ですが、一方で型にハマる危険性があります。
『1つの事しかわからない』『マニュアルにない=対応できない』というのは、よくありますよね。誰でも「たらい回し」にされた経験は、あるのではないでしょうか。
得意分野を伸ばしたら、色んなものを知り、経験することで、多様性が出てくる。
多様性は、柔軟性になります。
紙のマニュアル頼りにならず、自分の中に「判断の基準を養っていけるように。」という事です。
ありがとうございます。「自分自身で、考えられるように」という事が、それぞれの人生にも、お客様が関わる仕事においても、活きてくる。という事ですね。
それでは最後に、まとめとして「今後に向けて一言」よろしくお願いします。
仕事を通じて、そういう「基本」を日々、積み重ねられる環境があって、それを活かして、社員の一人ひとりが信頼される人間となり、一丸となってお役に立つ事ができる会社であれば、これ以上の事はないのではないでしょうか。
父親がよく口にしていた『人のため半分。自分のため半分』というのは
「自分を磨き、大切にして、自分を大切にするのと同じように、相手も大切にしなさい。」
もしかすると、そういうことなのかもしれませんね。
ありがとうございました!
【取材・文責:ヒットアシスト】
※この記事は、取材で伺った内容に、事実確認を加えた上で掲載しております。